試写会にて。
邦題はパリの家族たちとなっているが、原題は「La fête des mères=母の日」である。母の日と母にまつわるパリに住む人々のオムニバスの物語。
母。
おそらく人間の人格形成において、最も重要である人物だ。
でもそんな母も完璧超人ではなく、一人の人間である事をこの映画は赤裸々に描いている。
子供を産んだばかりで仕事と母業との両立に悩む大統領。
独身を謳歌していて子供が欲しくない教授。
子供を持つのが怖い女医。
子供と上手くいかないジャーナリスト。
子供ができたものの彼氏と電話が繋がらない女。
母親が心配すぎる息子
などなど・・・
やや突飛なシーンもあるが、
女性達の悩みはいづれも「わかるなぁ」と思うものばかり。
「母は影響が強すぎる」
「母はスーパーマンだと思ってた」
「子供を産むのがそんなに偉いの?」
などなど、所々ハッとさせられるセリフがある。
フランス人特有のよく喋るマシンガントークで流れるようにシーンが切り替わるオムニバスで、初めは混乱するが徐々にそれぞれの職業や関係性を理解していく。しかし、一部最後の最後までこの人誰?と思う人物もあり、あくまでも市井の人たちを傍観する視点なので、物語への没頭度は低かった。
母の日というテーマで母という存在をシリアスに深掘りしていく、という試みは面白かったが、もう少しキャラクターに深入りできるような作りならなお良かった。