いや~もうこの映画は完全にヨルゴス・ランティモスの世界軸でのできごと。つまりヨルゴス・ユニバースの映画。
ヨルゴス監督とよくタッグを組んでいる脚本家・エフティミス・フィリップ脚本の映画だそうだけど、この淡々と静かで不穏なたたずまいと言い、クラシック音楽の使い方と言い、完全にヨルゴス・ユニバースでしかないよね。え、監督と双子かなにかなの?ヨルゴス・ブラザーズ?馬鹿め、ヨルゴスはファースト・ネームだ!ハハハハ!!!(ねえ、映画のテンションは低空飛行なのに、何で私はこんなにもテンションが高いの?)
ちなみに、ヨルゴス監督作品とは性癖が合わず苦手気味なので、あくまでこんな感じだった気がするといううろ覚えの主観です(は)
ああでも、内容やテーマはヨルゴス監督より分かりやすかった気がします。変な設定もなかったし、全体的な空気もヨルゴス監督作品の中で1番おとなしめで理解可能だった「アルプス」に似てた気がする。
主人公は行き過ぎてあんなことになっていたけど、少なからずこういう思考の人間って実在するのが怖い。不幸が快感というより、自分以外の人間の幸福が許せなかったり、常に自分が関心の的でいないと気が済まない類の人間。人の好意や同情を当たり前のように思っているどころか、それを要求するまでに至ったら完全に病気。ケーキのくだり、あくまで淡々としてるのが本当に胸糞悪かった。
”誰かのために流す涙は存在しない”って言うけど、これがまさにそれだよね。
弁護士という立派な職業に大きな家、美人の妻に才能ある息子。傍から観ればすごく恵まれた環境で暮らしているのに、それに満足できない何とも不幸で哀れな男でした。
あ、因みに動物が傷つく映画は大嫌いなんですけど、今回は信じていたので全然余裕でした。