かすとり体力

浅田家!のかすとり体力のレビュー・感想・評価

浅田家!(2020年製作の映画)
3.7

『湯を沸かすほどの熱い愛』『長いお別れ』の中野量太監督作品。

本作、改めて、やはり中野監督らしい作品だなあと強く感じた次第。

まずやはり同監督、人間ってもんを信じているんだろうな。

人は人を思いやり、助け合うことが出来る。
辛い状況のせいで時には相手を傷つけてしまうこともあるんだけれど、人間にはその辛さすらも、家族や恋人、周りの人たちとの連帯をもって乗り越えていける「温かい強さ」を持っているんだ。

こういった人間観で満たされている結果、とにかく作品全体が温かい。

本作含め、どの作品も人間や社会のシリアスな側面に焦点を当てつつも(過去作では「愛する人の死」や「認知症」、本作では「東日本大震災」)、「人として生きていること自体が発散する希望」の香りが常に漂っていて、とにかく鑑賞感が良い。

あともう一点、その人間を描くドライさとウェットさのバランスの妙。

上述のような人間の善性を描く際、どうしてもウェッティーな演出をもってして、人間描写も甘ったるくなってしまいそうなもの。

それが同監督、持ち前のセンスなのだろうか、人間の温かさに焦点を当てながらもその描き方が絶妙にドライだったりして、(適切な表現が思いつかないが)とにかく絶妙に作品内の温度感が丁度良い仕上がり。

ということで、他作品同様、とても良い心持ちで鑑賞することが出来ました。

一点、二宮君演じる主人公の人間性が若干把握しづらい(何考えてるか分からない)感じもしたんだけど、最後のオチが良かったこともあって「ま、家族がみんな仲良くしてるんならいっか!そんな指摘は野暮野暮!」みたいになりやした。してやられた感あり笑

良い作品。
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