三樹夫

ラストナイト・イン・ソーホーの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

『サスペリア』であり『シャイニング』であり『反撥』であり『死霊のえじき』であるという縦横無尽な映画。大学進学を機に田舎から都市部へ出てきた学生が、都会の喧騒にもまれて変なことになるという大学上京要素があって、俺は大学も実家に住んで行っていて、上京というものは傍から見ていたのだが、主人公みたいな人大学生の時何人か見た。大学入ってから髪の毛を染めるというところに既視感がある。

主人公はサイコメトラーみたいに、いる場所の残留思念を読み取れる、というよりは勝手に自分の中に流れ込んでくるような能力がある。おそらく母親も同じ能力を持っていて、それでパンクしてしまい自殺した。
上京して大学入ったらスクールカースト上位みたいな連中からいじめられるという、そんなの何本見たかわからないアメリカのハイスクールものみたいになって、そこからミュージカルになって、幽霊屋敷ものみたいになって、いかにショービズ世界で女性が搾取されてきたかというMeToo要素が入って来て、誰がサンディーを殺したのかというミステリーものになるという、せわしねぇな。
バーにいたジジイが絶対リーゼントのポン引きだろと思ったら本当の名前はと唯一訊いてきた警官で、じゃあ大家のババアにあのポン引きが女装してるのか!?と、毛利小五郎ばりに推理を外していったので、大家のババアがサンディーでしたと明かされた時はとても驚いた。
サンディーがジジイ連中を殺したことに主人公は理解を示す。俺も死んで当然の連中だと思ったし、図々しくも助けてくれみたいなのをほざきだして、主人公にうっせーわカス、寝言ほざいてんじゃねーと突き放された時にはスカッとした。

主人公は60年代ロンドンが好きで、その時の音楽を好きで聴いているが、寮でいじめられだしてからは周りの音をシャットアウトするために音楽聴くという、『ベイビー・ドライバー』の主人公と共通する。俺はプログレが好きなので主人公の好きな音楽とは若干年代がずれるが、何聴いてんの、そんなの年寄りの聴く音楽じゃんとほざいたゴミは絶対に許さない。
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