天豆てんまめ

ニノチカの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

ニノチカ(1939年製作の映画)
3.3
クール・ビューティといえば、グレイス・ケリーの代名詞でもあったけれど、更に時遡り、グレタ・ガルボもまた氷の美女として一時代を築いた女優で、その切れ味ある美しさに魅了される。「ニノチカ」はそんな氷の美女が初めて笑顔を見せるというのが話題になった映画。駆け出しのビリー・ワイルダーが脚本で、彼の師匠的存在のエルンスト・ルビッチが監督だ。だからこそ台詞が洒落ていて、テンポが良い。

彼女はガチガチの共産党員に扮して、堅物ぶりを発揮しているのだけど、パリの自由な雰囲気とおしゃれに魅了されて女らしく変わっていくという役柄で、前半クール、後半チャーミングという彼女の魅力のふり幅を感じられるスパイコメディといった雰囲気の作品。

名作「グランド・ホテル」でも悲恋で落ち目のバレリーナを演じているけれど、彼女の魅力はこの作品でこそ味わえると思う。スウェーデンの貧しい娘からハリウッドの美の女神と駆け上がり、20年~30年代には神聖ガルボ帝国まで言われた彼女のエレガンスに満ちた美貌、雰囲気を一度は堪能してほしい。