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アグネスと幸せのパズルのSY3KRのレビュー・感想・評価

アグネスと幸せのパズル(2018年製作の映画)
2.0
『リトル・ミス・サンシャイン』の制作を務めたマーク・タートルトープが、アルゼンチンの映画『幸せパズル』をリメイクしたドラマ。

主人公のアグネスが閉塞的な毎日を送る中でパズルという新たな趣味に出会い、自我を解放していくハッピーなストーリーかと思いきや、想像以上にヘヴィなフェミニズム映画で何だかゲンナリしてしまった。しかも、それにしては描き方が下手すぎる。

まず、パズルを主題に取り上げている割に、なぜアグネスがパズルが得意なのかが全然伝わってこない。上達していく過程も満足に描かれず、女性の自立という主題ともまるで上手く絡んでいない。この時点で、パズルは取っ掛かりを作るためだけの飾りであることが知れてしまう。

また、アグネスの夫や息子たちがもっとヘイトを掻き立てる、もしくは暗に仄めかす演出がないと、見ている側としては主人公に共感できないだろう。これではアグネスが理不尽で傲慢な奴だと思われても仕方ない。時間の積み重ねだと言われればそれまでだが、少なくとも我々はその積み重ねを知らない。

ロバートとのロマンスは、最後のオチも含め、アグネスの性格の悪さを出涸らしまで搾り尽くしたかのような印象だ。この主題を取り上げた映画であれば、2018年にはジェマ・アータートンの熱演光る『シークレット・エスケープ』があり、勝負するにはいささか分が悪いと感じる。

しかし批評家の総評ではこちらに軍配が上がっているので、個人的にはどうにも納得しづらい結果となった。シリアス成分の少ないとっつき易さがウケたのだろうか。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:83%
・観客支持率 :75%
「素直な感情の発露とケリー・マクドナルドの控えめな演技が、本作の風変わりな前提を超越するものとなっている。」
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