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スケート・キッチンのSY3KRのレビュー・感想・評価

スケート・キッチン(2018年製作の映画)
3.0
ドキュメンタリー作家として作品を世に放ってきたクリスタル・モーゼル監督が、初めて長編に取り組んだ青春ドラマ。

女子スケーターというちょっと見慣れない題材を扱っているが、中身は典型的なジュブナイルといった印象。カミラが感じる「大人と子ども」「女子と女性」「男と女」といった様々な境界線の狭間でフワフワと漂う感覚は、ティーンエイジャーなら誰しも経験した共通の感覚だろう。

ユニークなのは、その境界線の1つに「フィクションとノンフィクション」が含まれている点だ。彼女たちが過去の思い出を話すシーンでは不意にカメラがクロースアップ。その瞬間に主人公「カミラ」が演者「レイチェル」へと切り替わり、演じ手のインタビューを見せられている不思議な錯覚に陥る。

主要キャストは全員本物のスケーターなので、街中や公園で滑走するシーンはどこを切り取っても絵になる。しかも背景がニューヨーク・ブルックリンの街並みだから、2割増しで映え映えだ。この時ばかりは彼女たちも与えられた役割から離れ、華麗にトリックを決めて見せる。

監督がドキュメンタリー作家としての経歴を活かしながら、思春期のティーンエイジャーの葛藤を軽やかに描いた作品だと思うのだが、肝心の部分がありきたりなのはちょっと残念。こんだけ色々悩んだあげく、トラブルの種が「男の子」・見つけた居場所が「友ダチ」ってのはなんか安易。

●トマトメーター
・批評家支持率:89%
・観客支持率 :76%
「本作は、登場人物に魅力的なスライス・オブ・ライフ的アプローチをとり、タイムリーなテーマに軽妙なタッチでアプローチしている。」
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