じゅぴ

ミッドサマーのじゅぴのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0
白い衣装、飾られた色とりどりの花、音楽が流れる中で歌い踊り働く人々。一見、絵本の世界のような理想郷に招待された(意図をもって誘い込まれた)主人公ダニー。
常軌を逸した「儀式」を目の当たりにして、もうこんな場所無理!って思ってたのに、次第に「ホルガ」という1つの生命体に取り込まれていく。
しきたりを重んじ、踏襲することが第一の世界、そこでは感情さえも皆で共有する。これはもうカルト集団である。一切批判せずドラッグの力を借りて儀式というルーティーンに埋没し思考停止状態でいることで安寧な幸福を得ることができる。極端な設定だが、とても暗示的な寓話。
着ぐるみ熊さんになったダニーの恋人の名はクリスチャン。キリスト教徒ととらえるとこれも意味深。
家族を失い深く心に傷を負っていたダニーは、ついにはその共同体の一部となり、恋人への復讐を果たし心の平安を手にいれて微笑む。
おどろおどろしい内容を先進国スウェーデンの明るい太陽の元で描くギャップが気持ち悪さを倍増させる。
絆もここまで来ると恐怖でしかない。
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