はる

ミッドサマーのはるのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.5
祝祭だ!!やったー!!
2020年最も楽しみにしてた作品の一つ。『ヘレディタリー/継承』ではかつてないほどの衝撃で打ちのめされましたが、今回も素晴らしい!流石は笑顔が素敵なアリアスター監督!裏切りませんね!
『ウィッカーマン』や古くは『2000人の狂人』最近では『アポストル 復讐の掟』などに代表されるジャンル映画の側面を持ちつつ、アート色も強く、心底美しい映像の連続。観終わった後には味わった事のない爽快な感動に襲われ、しばらくはトリップ感も抜けない奇妙な余韻に浸る事が出来ました。
大学生5人グループがスウェーデンの奥地で開かれる90年に一度の夏至祭に参加するという内容で、スウェーデンの夏というのは白夜なので、夜中になっても明るいんですよ。ホラーなのにほとんどの時間が照り返すような強い白が画面を支配しているというのがまずとても新鮮なんですよ。
ヘレディタリーの一件もあり、ワンカット目から注目しようと構えていたら、コレが面食らう中々のファーストカットでして、これから良くない事が起こる事はまぁ一目瞭然なんですよ笑。
ヘレディタリーにも言える事ですが、とにかく劇伴のインパクトが凄く、重低音が鳴りっぱなしのヘレディタリーとはまた違い、音楽だけでなく、人々の声や歌なども含め音響による効果は絶大だと思います。
それと何と言っても特筆すべきはトリップ表現。怪しげなお茶や煙なんかで主人公達はトリップ状態に多々陥る訳ですが、あまり他では観ない映像表現がとても面白いですね。私はキメた事ないので実際のところは分かんないですけど、マジでこんな感じなのかもって思える絶妙な生々しさがあります。誇張しすぎた表現よりもこっちの方が怖いですね。
白夜が生み出す異様な空間とトリップによって正常な思考からどんどん離れていく主人公達の気持ちが映画を観ている身にも伝染してきて、おぞましい事が起こっているはずなのに、高揚していき、なんだか物凄くめでたい気分になっていきます。『食人族』なども同じですけど、そもそも死生観が違うだけで、彼らとしては悪事を働いているつもりはないんですよ。それこそ祝祭!スコール!ハイパーセックス!縁起が良いことこの上ないですよ!
ゴア描写も相変わらず容赦なくドラマ版の『ハンニバル』死体アートを連想させる芸術性も見受けられます。ヘレディタリーもそうでしたが、アリアスター作品に出てくる素っ裸な人々はなんでこうも皆んな絶妙な体型なんでしょうか。適度にたるんだ感じといいますか笑。
ヘレディタリーを観た時は「この監督のホラーをもっと観たい!」と思いましたが、今回ミッドサマーを観て「ホラー以外のアリアスターも観てみたい!」と思うようになりました。このミッドサマー自体が普通のホラーの枠からは出た作品で、きっとアリアスターは何を撮らせても確実に期待を上回ってくれるように思います。あとやっぱりこういう作品を通してくれるA24は本当に偉いと思います。より信頼が強固なものになりました。
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