回想シーンでご飯3杯いける

幸福路のチーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

幸福路のチー(2017年製作の映画)
4.0
劇場公開時はノーマークだった台湾のアニメ映画。なんだこれ、めちゃくちゃ良いぞ!

アメリカに嫁いだ台湾の女性が、祖母の葬式の為に帰国。故郷である幸福路の風景が昔と大きく変わってしまった事に驚きつつも、想いは少女時代の記憶に。女性の半生を走馬灯のように描く、回想シーン中心の構成は、実写と同じで台湾映画が得意とするところだ。

水彩画のようなテイストは「この世界の片隅に」を思わせ、主人公の心境を映像化したサイケデリックなシーンは湯浅アニメに近い。作中には「ガッチャマン」のエピソードもあるし、日本からの影響を強く感じる。

回想シーンには台湾の民主化運動やアメリカの同時多発テロ等、'80~'00年代の政治問題が登場するのも特徴だ。台湾の人が観ると刺さりまくるのだろうと思う。韓国版の「サニー」でも同様のシーンがあった。この辺りの描写は、アジア映画ではもはや当たり前となっているのに、日本映画がこの時代を描くと、どうしてもブルセラやAVの話になってしまう、、、、。スキャンダラスな刺激ばかり追いかけ、国民の生活に関わる大切な部分は描かない。世界目線で見ると日本映画の駄目な部分について考え込んでしまう。