とてもワクワクしたドキュメンタリーだった。
J・F・ケネディやマリリン・モンローからダイアナ妃、ジョージ・クルーニーやウィリアム王子とキャサリン妃までセレブから英国王室にまで愛され続ける1流ホテル「ザ・カーライル」。
セレブたちがそれぞれのホテル物語を紡ぎだす。
なぜそうまでして、セレブ達はこのホテルを愛し続けるのか、それが長年働いているスタッフの幸せそうな語りによって、しみじみ伝わってくる。
中には50年近くも働き続けるドアマンやエレベーター係もいて、彼らは’伝説’の数々を見届けた生き証人として語る。
皆、とても楽しそうだ。
特にカーライルの名物コンシェルジュ、ドワイトが印象深かった。吃音症ながら、36年間もこのホテルを支え続けてきた彼のウィットに富んだおもてなしは宿泊客からもスタッフからも愛されてきた。トミーリージョーンズは彼は友達だと嬉しそうに話す。
カーライル・バーでは夜ごとライブ演奏が行われるが、ウディ・アレンがクラリネットを吹く夜もある。このバーが『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』に何度も出てくるので続けて観るとよりN.Y気分により深く浸れるかもしれない。
1泊数十万以上するホテルに泊まることはないかもしれなけれど、このホテルの空気に触れてみたいと思った。
’古き良き時代の温もり’と’洗練されたアート性’が合わさった唯一無二の桃源郷のように多くのセレブが語る。
ジョージ・クルーニー、アンジェリカ・ヒューストン、トミー・リー・ジョーンズ、ハリソン・フォード、ウェス・アンダーソン、ソフィア・コッポラ達だ。
ソフィアコッポラはパークハイアット東京に「カーライル」的な美しさを感じて、「ロストイントランスレーション」を撮ったのかな。ビル・マーレイもやはり「カーライル」好きらしくこのドキュメンタリー撮影中、泊まっている姿が映し出される 笑
今の時代はコロナが猛威を奮うN.Yだけでなく、世界中の誰もが息苦しく、逃げ場の無い、閉塞感を抱えて生きている。
そんな時に、年に一度でもいい。心の滋養となるような、自身を大切に扱ってくれるような、上質な気分にさせてくれるような、そんな豊かで研ぎ澄まされた時間と空気に包まれた「逃げ場」が誰にも必要だ。
そんな’品’と’遊び心’に満ちた「逃げ場」を日本でも探してみたい。