壮大な失敗作。
オープニングから、緊張感に欠ける。楽器を打ち壊すシーンが、五月蠅い現代社会への警鐘であったりはする。2階の管理室から一般客に紛れ込むシーンは、管理社会の匿名性を象徴していたりはする。会場を爆破するあたりまでは、迫力がある。
時間を巻き戻すというアイデアも、独特ではある。過去の自分と似た兵隊を乗り越えたり、過去の女性の傷を回復したり、ユニークなシーンがある。
しかし、映画として成功していない。何が起きているのか分からなくなってしまっている。物語の構造が見えず、小さなメタファーの混ざったシーンを次々と見せられるのみ。後半は時間もただの道具になってしまっている。
150分を長いとは感じさせない力はあるが、期待外れ。