Inagaquilala

TENET テネットのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.0
普段は映画館でパンフレットなど購入することなどないのだが、この作品は、観賞後、思わずショップへと走ってしまった。「メメント」 (2000年)や「ダークナイト」(2008年)、「ダンケルク」(2017年)など、新作の発表のたびに話題を巻き起こしてきたクリストファー・ノーラン監督の最新作。今回彼が挑戦したテーマは時間の映像化だ。道路で車が逆行するシーンは、たぶん後の映画史にも残るものになるかもしれない。時間を扱っているだけに、再観賞、再々鑑賞して作品中を流れる時間軸をしっかり把握する必要はあるが、とりあえず観客を最後まで引っ張っていくノーラン監督の映像の牽引力は健在だ。

導入から前半まではミステリータッチで観客を惹きつけ、作品の後半からはこれまで観たこともない「時間逆行」のアクションで畳みかけ、最後はタイムリミットサスペンスも仕掛けてくる。やはり映像の見せ方を窮め尽くしているノーラン監督らしいバラエティにとんだ演出だ。物語の舞台もキエフ、ムンバイ、ロンドン、オスロ、アマルフィ、タリンと世界をまたにかけて移動し、時間だけでなく、空間的にも派手に飛び回る。2時間30分という上映時間も、少しも退屈することはなかった。作品の全貌を理解するのは不可能かもしれないが、観賞後、パンフレットを購入したくなる作品であることは確かだ。
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