千年女優

TENET テネットの千年女優のレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.5
プラハのオペラハウスを襲ったテロ被害を防ぐも何者かに拉致され尋問の中で自決を選んだ主人公が、その忠誠心を買われて秘密研究所でTENETのキーワードと共に第三次世界大戦阻止のミッションと「時間逆行」の理論を知り、その鍵を握るロシアの富豪セイターとその妻キャットへバディとなるニールと共に接触する様を描いたSF映画です。

過去作でも特徴的なSFアイディアの物語をCGを極力使わない彼流のロマン主義で描いたクリストファー・ノーランが、「すべてはシンメトリーだけれどエントロピーは例外」という物理理論に基づいて「時間逆行」を盛り込んだ、どこか『ジョジョ』を彷彿とさせるテーマを持った作品です(あのスタンドは『メメント』がモチーフですしね^^)。

本作で最もロマンを感じたお気に入りのキャラは自らと世界終末のリンクを目論んだ彼なのですが、その目線では腑に落ちない点があり、その対抗策が陳腐な『ターミネーター』展開、美点の複雑な物語と欠点の見にくい絵を混同する悪癖も相変わらずと良かれ悪かれのノーラン節ですが、順行と逆行が入り乱れるコンセプトに心躍る一作です。
千年女優

千年女優