悶

TENET テネットの悶のレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.5
(2020年10月、新型コロナの影響が収束しかけた時期に劇場鑑賞し、最近閉鎖されたサイトに投稿したものですが、現在は動画配信のレンタルもされていることから、これから鑑賞をお考えの方々を中心に、投稿します)

【鑑賞のきっかけ】
理由は単純です。以前から注目していた作品だから。また、クリストファー・ノーラン作品が好きだからです。

【率直な感想】
<科学的考証は、文系にとっては十分なものでした>
「時間の逆行」がテーマと聞いて、タイムトラベルとは少し違うようですが、この監督なら、それらしい科学的考証を持ってくるだろうと思っていました。
相対性理論に基づく、タイムトラベルは、未来へ向けては実証されているけど、確か、過去へ向けては実証されていないと聞いています。
ならば、何と説明する?
この部分は、ネタバレではないので、事前知識を得ていたのですが、「エントロピーの法則」を用いています。
この部分、専門的知見のある方だと、本当にそうか?と疑問に思うかもしれないです。
でも、私は、文系なので、ネット記事などで、「可能かもしれない」と納得してしまいました。
数学苦手な私としては、十分な説明になっていました。

<ストーリーについて>
ここのレビューを含め、巷で「テネットは難解だ」と言われています。クリストファー・ノーラン作品は、構成が緻密、という経験則から、「身構えて観ました!」

時間逆行の世界観自体は、物語が進行してくると、段々仕組みが理解できるようになっていきます。
しかし、ストーリーはというと、映画が始まってしばらくすると、主人公が何故そんな行動をしているのか、前のシーンと繋がらない。
また、「美術品の絵画の取引」や「金塊の輸送」など、これが、「世界を救う物語」とどう結びつくのか、と疑問に思いました。
そこで思ったのですが、「これは、ミステリ仕立てで鑑賞すればよいのでは?」というもの。
ミステリでは、始めの方の展開が後半にどう結びつくか分からない、というものがあります。しかし、きちんと、「後半の展開に向けてのヒント」が潜んでいます。さりげないセリフや、所作、アイテム、エピソード。

私は、後半に結びつくのでは?という候補を探しながら、鑑賞していきました。
また、この作品、「時間」がテーマです。ならば、このシーンの時間軸は、どこだ?と注意していないと、あとで混乱するかも、ということも思っていました。
こうした鑑賞方法は、おすすめかどうかは自信がありません。でも、私としては、後半になって、「あの部分をここで活用するのか!」と楽しめる部分が多々あったこと、また、時間軸については混乱しなかったため、満足しています。

【全体評価】
やはり、クリストファー・ノーラン作品は、緻密なしっかりした構成で迫る、骨太なものでした。
もちろん、物語展開のスピード感も申し分なく、2時間半という長さは全く感じない、傑作であったと思います。
悶