リッジスカイウォーカー

TENET テネットのリッジスカイウォーカーのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

観てきました!!

ノーランがスパイ映画を撮っている!!という情報を仕入れてから、待ちに待っていました!!

IMAXのEXEシートの予約争奪戦にも勝ち、ベストポジションでの鑑賞。


時間を操る魔術師、ノーランが今度は何を見せてくれるのか!
ワクワクしながらスタート。


いやぁ〜めちゃくちゃ難解です…。
ノーラン史上最高の難しさ。

まず最後まで観終わっても、一体何がどうなっているのか。なんとなくこういうことかな?という、雲を掴むような空虚さに包まれます。
映像的に面白かったのは間違いないが、ストーリーがわからないし、何が起きているのかもわからないという感じです。

観終わった後、これは3回観ないと分からないな…って思いました。

2回目でストーリーの理解。
3回目で世界観の理解。
そんな感じで。


家に帰りながら、妻、息子とあれがこうでこれがこうなの?いや、あれはこうで、こういうことだよ。え!そういうこと?!っていう考察を延々と話していました。


た、楽しい。。

インセプション、インターステラーでもそうでしたが、こうやって考察をできる深さがノーランの魅力ですよね。

しかし、いろいろ議論したけどやはり腑に落ちない。


家に帰って、Spotifyでサントラを聴きながら(TENET、音楽も最高です。よくあるオーケストラの音楽ではなく、DJのアルバムを聴いているようで、ひたすらにカッコいいです。)パンフを熟読。
それでもまだ半分も理解できてないような気がしますが、昨日の時点で理解できたことを書いていきます。


ここから先はネタバレ全開で書いていくので、未見の方は読まないでくださいw
(自分でも思っているのですが、クソ長いですww)


■疑問1:時間の逆行がなぜ第3次世界大戦なのか?
まず序盤で語られる、第3次世界大戦なんですが、時間を逆行することがなんで世界大戦になるの??って劇中ずっと思っていました。

もう序盤も序盤でそれを思ってしまったから、語られるセリフが頭に入ってこないこと多数w

まずこの前提がわかってないと、お前ら、なんのためにそんな必死なんだよ…ってなります。。私はなりましたw

戦争が起こる理由は領土拡大だったり、資源の奪い合いだったり、考え方の違いで起こったりしますが、今回の理由は人類の滅亡です。
地球はこの先温暖化、資源の枯渇、隕石の衝突や人口爆発などで、人類は滅亡するというお話はいくつもありますよね。インターステラーもそうでした。TENETも根幹はそれになります。

このまま行くと人類は滅亡するしかない、そうなった時の遥か先の未来で、誰かはとてつもないことを思いつきます。

「未来ではもう生きていけないなら、時間を遡って生きていけばいいじゃん」

ということを。


は、はぁああああ??
なんだそりゃああああ!!!

ノーラン様、一体あなたの頭の中はどうなっているのですか…(褒め言葉)


そう。TENETは未来の人類が現在の人類に仕掛けた、生き残りを賭けた戦争なのです。

9つに散らばったアルゴリズムを起動させると時間を完全に逆行させることができ、順行の人類は生きることができなくなる。

だから第3次世界大戦なのです。
な、なるほどぉう…。


■疑問2:逆行した時間の世界
インセプション、インターステラーでもそうでしたが、ノーランは作品の中で独自のルールを作り上げます。このルールが破綻せず成り立っているので、盤石な世界観を生みます。ノーランのすごさは、虚構はありつつもリアリティのあるルールに落とし込むところだと思っています(天才や!!)


物語のキーワード、時間の逆行ですが、最初は特定の物や人を逆行させるのかと思っていました。この思い込みがさらに複雑化させてしまいました…。


TENETの世界での時間の解釈はこうです。
時間は現在から未来に向かって進みます。これは変わりません。だけども未来人は現在から過去への時間を進むことができるトンネルを作り上げます。時間が逆再生になっているので、鳥は後ろに進み、船は後ろに進みます。飛沫も逆に。物理学のエントロピーの法則というのがあり、それに則ったノーランの解釈が反映された世界です。なので、これはもうそういうものだと思うしかないですね。(エントロピーは難しすぎてよくわからないw 運動が逆になるので、人間は逆再生しているように見えるんだそうです?)

原子の運動の法則も逆転するので、逆行した世界では人間は酸素を取り込んで呼吸することができません。なので、順行世界の酸素を吸うために、順行世界の酸素が入ったボンベを使って呼吸する必要があります。

んじゃあ、時間を逆転するトンネルがあるところは、逆行世界に行ったら息ができなくなるんじゃね?って思うのですが、なぜか息できてますよね。
逆行世界の酸素を順行世界の人間が取り込めるように変換してるらしいです(セリフで言ってた??)

時間の逆行は過去に遡っているので、俗に言うタイムトラベルではありません。目的の時間に到達するまでは、順行と同じだけの時間がかかります。

ややこしくしてるのはこの順行と逆行の時間の進み方で、順行世界から見た時に、人間や動物は逆に動くから見てすぐおかしいな?って思うけど、物理的に動かないモノは、見ただけじゃ判断できないというところです。

この時点でようやく序盤に出てくる石と銃の話がなんとなくそういうこと!?っていう風に思えてきます。

石に向かって銃を撃つと、石から弾が飛び出し(てるように見えて)、銃に弾が戻ります。

そう。この石と銃は逆行世界にあるモノなのです。トンネルを潜ってきたのです。だから原因と結果の法則が反対になっている(ように見える)のです。


はぁ難しい。。

順行世界の常識で考えちゃうから、難しいって感じるんだろうなぁ。

この前提を踏まえた上で、最後の順行部隊と逆行部隊の挟撃シーンに繋がります。
順行は0分から10分間、逆行は10分から0分間までの戦いを同時進行で描きます。
画面に今が順行です!逆行です!ってついてれば分かりやすくなるんでしょうが、そんなもん出るわけないので、今が逆行なのか順行なのかがぐっちゃぐちゃになりますw

さっきやってたシーンは順行の3分頃だけど、このシーンは逆行の3分頃とかで、順行から見たら7分後の世界なのです。


そんなんあのスピードで場面展開されたら、わかるかーーい!!ww


なので、初見で理解は絶対に不可能と思われます。
理解できたら、それこそ時を逆行してきた人じゃないですかねw

■疑問3:ニールに出会ったのはいつなのか?
序盤からラストまで物語の最重要キーマン、ニール。
彼と主人公の友情が、ストーリーに華を咲かせています。
鞄についた五円玉(?)、実は冒頭のシーン、劇場テロの場面でも出てくるそうです。
妻と息子は覚えていて、僕は全くそんなシーンがあった事すら覚えてないw

本作のラストはこの劇場テロの場面まで戻るのかな?と思ったのですが、この五円玉をキーにすることで、冒頭で主人公を救ったのは、ニールだと言うことがわかるように構成されているのです!!ふおおおお!!

そういえば、初対面なのにダイエットコークを頼んだり、ちょいちょい主人公の事を知っている感じでした。

ニールと主人公の友情が実は深いということが分かると、挟撃の壮絶な10分間のラストシーンは急に切ないものに変わります。
初見では何が起こっているのかわかりませんが、この事実を理解した上で2回目を観た時、僕は泣いてしまうかもしれない…と、今これを書きながらもちょっとウルッときています…。。


はぁー。これだけ書いてもまだ書き足りないものはありますが(なぜセイターはここまで執拗にアルゴリズムを実行しようとするのか。プリヤの組織の目的は一体なんなのかなどなど)、この3点を抑える事でストーリーは大分理解しやすくなると思っています。


2回目を観るのが、とても、とても楽しみ。
10回観てもわからないんじゃないかと思うほどとてつもない世界観と練られたストーリーに彩られたSF映画の歴史に残る超超大作。
ぜひIMAXで体感してほしいです!


ノーラン先生!
一生ついていきます!!

※この長文レビューを読んでくださり、ありがとうございます。

P.S.
ジョン・デイビッド・ワシントンの父親って、デンゼル・ワシントンっていうのをパンフ読んで知って、むちゃくちゃビックリしました!!
今後の活躍が楽しみの役者さんが増えました(^^)