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愛欲の港のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

愛欲の港(1948年製作の映画)
3.8
邦題つけた担当者出てこい、です笑。日本に最初に紹介されたベルイマンのネオレアリズモ作品で、重さを覚悟していましたが、希望ある純愛物語でした。余韻のいいベルイマン作品は久しぶりです。

「不良少女モニカ」を彷彿させます。港町の施設帰りの少女を、船乗りをやめた青年が支えていくピュアな恋愛で、ベルイマンらしい闇は、歪んだ母により鬱屈してしまった少女の母娘関係に表れます。また保護司の女性も合理的な理由なく厳格でした。ベルイマンのトラウマである父息子関係が投影されていると思われます。

二人を支える船乗り仲間がいたり、決して闇の中にズブズブ落ちては行かない、ネオ・レアリズモとしては珍しいハッピーエンドでした。

しかし、「大人は判ってくれない」でも思ったのですが、家出くらいで親が手に負えないからといって、簡単に施設に入れられてしまうヨーロッパの子供の人権の無さにはびっくりです。子育てできない親から保護する役割もあったのでしょうが。


これで、年初の目標どおり、配信・レンタルで現在鑑賞できるベルイマン監督作品(24作品)すべてをコンプしました🏅といっても昔に観たものはスコアだけでレビュー書いていないのもあり、来年からベルイマン2巡目始めたいと思います。

ベルイマンは、司祭の父に反発しつつも、闇の中で光を探し続ける求道者にしか見えないんです。その葛藤がクセになります。
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