たつなみ

ひとよのたつなみのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
3.5
白石和彌監督にこの超豪華キャストならば絶対にハズレは無いと思ってハードルを上げ過ぎたせいか、正直私はあんまりノレなかった。

稲村家のキャストは言わずもがなの演技力と存在感で素晴らしく、四人のアンサンブルは見事と言わざるを得ない。
現在から過去に切り替わる見事な演出も最早お馴染みだし、時折入るコミカルな描写も白石監督ならでは。

ある一夜(ひとよ)をきっかけに『家族』という呪いに縛られた者たちの物語。
家族という関係のあやふやさと、親が子のためを思ってすることが子を苦しめる重荷になってしまう矛盾は観ていて辛くなってくる。

でも、個人的にはサイドに入ってくる弓(筒井真理子)と堂下(佐々木蔵之介)のストーリーをもっと掘り下げて、稲村家も含めた群像劇にした方か良かった気がする。
弓と堂下のストーリーはそれぞれかなりのヘビーさなのに、本編ではあまりにも中途半端さが目立つ。
あそこまで観せられると彼らの結末がもの凄く気になってくる。

今のところ白石監督作品は「凪待ち』がベストかな。