たつなみ

デッド・ドント・ダイのたつなみのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.5
久しぶりの映画館での鑑賞。
やっぱりこの空間は大好きだ。

ゾンビ映画、とりわけジョージ・A・ロメロ作品への深い愛情を感じる。
ロメロの作品世界をジム・ジャームッシュがリメイクしたら…という、そのまんまの作品だった。(勿論良い意味で)

ロメロゾンビのノロノロ感と『ゾンビ』や『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』辺りに漂うマッタリ感がジャームッシュの作家性と自然にマッチしていて全編もの凄く味わい深い。
独特の間で繰り出されるオフビートな笑いもいい感じ。
正に期待通り!

ビル・マーレーとアダム・ドライバーの主演2人の微妙なコンビ感が何かカワイイ。
特にアダム・ドライバーはあんなナリしてスマートに乗ってるし、しかもキーホルダーがアレなのは笑えた。
ティルダ・スウィントンのミステリアスな役回りは納得。(確かにこの人はアレっぽい)
そして何よりも久しぶりにスティーブ・ブシェミを観られたのは嬉しい!
期待を裏切らないクソみたいな役回りは流石の存在感!
しかもホラーオタク役に”クズ野郎俳優”ケイレブ・ランドリー・ジョーンズまでいる!
もうキャストだけで大満足ですわ。

所詮我々は消費社会に翻弄される『生ける屍』に過ぎない。
コーヒーに始まり、スマホやWi-Fi、Bluetoothまでも探し求めて彷徨い歩いている。
結局ロメロが『ゾンビ』で描いた頃から何にも変わっていない。
最早人間は己の欲望に抗うことは出来ないのだ。
…こういう無常感もちゃんと描かれていて本当に抜かりがない。

正に王道への回帰!
また一つ大好きなゾンビ映画が増えた。