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サスペリア PART2 完全版のKuutaのレビュー・感想・評価

サスペリア PART2 完全版(1975年製作の映画)
3.7
・話は大雑把だが一つ一つのディテールが強い。殺人のエグさ、緊張を煽る無音、赤い美術に、気の抜けた会話やコメディシーンが混ざる緩急。ゴブリンのご機嫌な音楽も乗っかって、不思議な恍惚感が生まれている。犯人に殴られると流れるドラみたいなじゃーん!て音に笑う。

・閉所恐怖症の男vsフレーム。絵の中、鏡の中を出入りする。画面奥では人が立つのと同じように人形が映り込む。人と人形、虚実の区別が付かない。

・殺人鬼が部屋に入り、歩いてくる様子を全部カメラに映すから「来てる来てる」と物理的に怖いし、人形が迫ってくるあの名シーンも、カメラに寄ってくるまでのヌルッとした間が超怖い。

・悪霊にコントロールされているように、嫌な偶然が滑らかに繋がる。無人のショット、ズームと手ブレの主観視点を並べて(ハロウィンのよう)殺意の移動を描く。

・外国人の主人公の味わう不安、神経が蝕まれる感覚はサスペリアと同じ。

・女性に腕相撲で負ける主人公。車の座席が壊れて背丈が女性より小さい子供になる。障害者や精神を患った高齢女性、トランスジェンダーが次々に登場するが、主人公自身がある種のアウトサイダーとして彷徨う。エスプレッソマシンの隣や、大通りのど真ん中にあって声が聞こえにくい電話。

・真似したくなるクソかっこいいオープニング。壁が崩れて絵が出てくるシーンも好き。

・イタリアの建築を引きで捉え、その中をウロウロと人が歩く映像に若干のアントニオーニみを感じた。
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