幽斎

ガーディアン 偽りの守護天使/ガーディアン・エンジェル 洗脳捜査Xの幽斎のレビュー・感想・評価

3.8
フィンランド/デンマーク/クロアチア合作劇場未公開。WOWOW放送時の邦題「偽りの守護天使」。催眠術と犯罪と言えば何故か性犯罪が多い。2015年イギリスでセラピストで16歳の娘を持つ既婚者Gary Nalideを逮捕。摂食障害のセラピーを受けに来た22歳の女性に催眠術で銃声を口にすると絶頂を迎える暗示を掛けた。逮捕後YouTubeで催眠術を憶えたと自供。他にも14歳少女の暴行の余罪で懲役10年が科せられた。

原題はThe Guardian Angel。邦題はホラー映画一直線ですが、中身は歴とした北欧ミステリー。舞台は1951年ナチス占領から解放されたデンマークのコペンハーゲン。あらすじは、銀行強盗犯の共犯者として、犯人と刑務所で同房の男が浮上。この男は東洋医学を極めた過去が有り、心神喪失と言う概念が無い時代で、催眠術で人を操る犯罪を立証し逮捕出来るのか?。原作小説は無く、催眠術師の事件を基にしたオリジナル・ストーリー。

フィンランド人Arto Halonen監督の長編デビュー作。主演のPilou Asbækはデンマーク人だが「グレートウォール」「ゴースト・イン・ザ・シェル」とハリウッドで活躍。妻役のSara Soulieも存在感有る。そしてJosh Lucas「ビューティフル・マインド」で注目され、X-47ペガサスとして実用化された無人ステルス戦闘機を描く「ステルス」で主演を務めた。その後も1年に1本のペースで出演してる実力派俳優。悪役も嫌味なく熟せる演技を如何なく披露。低予算スリラーでも端役も含めキャストは充実。

例に依って「ミレニアム」「特捜部Q」を期待すると評価は下がるが、雰囲気は悪くない。推理小説で定番の催眠術、洗脳、マインドコントロールの違いなど興味深いテーマ。実在の事件を基にしたリアルな展開。対峙する捜査側に精神科医のスペシャリスト。心理犯罪の捜査方法等楽しめる要素も多い。友人は「不能犯じゃん」と言うが、謎の究明が丁寧な分面白さに欠ける点は否めない。回想シーンが多く、物語に爽快感が無い為(ミステリーでコレは重要)オチの展開も読み易い。Josh Lucasのサイコパスが魅力的で欧州気分も味わえる、スリラーとしては平均点。

北欧ミステリーでも英語なので見易く、物語の構成は固いのでサスペンス好きは観て損は無い。それより、この邦題こそ逮捕モノだ。
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