韓国における貧富の格差を描く社会派ブラックコメディ・サスペンス。第92回アカデミー作品賞の受賞作。
テンポよく進むストーリーと、劣悪な半地下の生活ですら時に美しく見せる映像面での演出力が圧巻。立ち小便するおっさんと水をかける半地下住民の場面が不快な絵にならないのは凄い。
とはいえ、悲惨に描くときはしっかりと悲惨に汚らしく描写されるので、この生活の辛さはひしひしと伝わって来るものがある。
主人公である貧民層家族は、個々人の振る舞いを見る限り、本質的には優秀で普通に仕事もこなせる能力がある。にも関わらず全員無職だって点がやるせ無さを助長する(ピザ時代の箱作るのはヘタクソだったけどね)。
終盤は富裕層が貧民層に対して持つ無意識的な差別が悲劇に繋がってしまうラストだが、劇中での若い世代同士の交流には希望の側面も感じた。
日本においても総中流時代はとうの昔に終わりを迎え、日々格差は拡大し続けている。貧の側の人間にそれを乗り越えるチャンスは与えられているだろうか?と考えてしまう一作。
■共通項目
脚本:☆☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆☆
音楽:☆☆☆☆
役者:☆☆☆☆☆
キャラクター:☆☆☆☆
オリジナリティ:☆☆☆☆☆
個人的好き度:☆☆☆
■ジャンル項目(コメディ、サスペンス)
笑える度:☆☆☆
ハラハラ度:☆☆☆☆
社会風刺度:☆☆☆☆☆