きになるき

パラサイト 半地下の家族のきになるきのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

なによりもまず面白いが先にきた。

言動の動機にその人固有の"感情"を感じ取れなくて、ただ置かれた"現実"に沿って生きてる感じがする。だからすごい笑えるんだと思う。残酷…だけど面白い。

しかもそれを、えっぐい魅力的なカットで見せてくるからヤバい。特に40分くらいの、桃をめぐる兄妹二人の4カット分とか、ガチで痺れた。
一つの画面における温度感の定まらなさというか、ロマンチックなのに残酷でちょっとクールな感じが、マジで現実生きててカッコいい。

なのに、(最後からちょっと前のどんちゃん騒ぎでの)お父さんの行為だけは、すごく感情的に思えて、「臭い」を共有する人付き合いの深さ、そこでの他者の振る舞いがどれだけ心の奥を刺激するかを思った。

かけ離れたそれぞれの"現実"同士が、片方にしてみれば、それこそそこに到る方法なんて思いつかない程には手の届かない、届くはずがないものなのに、現実的に手で触れられる範囲にあることが恨めしい。

だから、「現実生きててカッコいい」なんて、そう思うことは自由でも、社会の中で手放しで言うことは絶対にできない言葉で辛い。