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パラサイト 半地下の家族のiiのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
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物語の展開はすごい映画的なのに内容は現実的だった。サイコ的な人間の行動の裏付けにはどうしようもない鬱憤や越せない壁があって、貧困層がいくら足掻いて階段を登ろうとも、ひび割れたガラスから水が浸入していくように、降った雨が上から下に落ちていくように、彼らは登った階段を大急ぎで降りていかなければならなかった。あまりにも抽象的な絵画と石。言いようや使いようによってそれらは騙し絵にも鈍器にもなる。
視覚、触覚や経歴は騙せようとも染み付いた地下の匂いだけは消すことができなかったのが切ない



2回目

水槽に作られた偽物の地下は沈む運命しかない。最初とラストカットのスクリーンに映る地下の格子戸の彼らは、富裕層の家に行っても滴る雨と雷に映るガラスの中の抽象画にしかなり得ない。なぜ、家庭教師の彼は娘に、自分がここにいて浮いていないか聞いたのか?
あまりにも抽象的すぎた彼らの日常にもたらされた非日常に半信半疑でいた彼は信じたくても信じられない、消せない匂いに石を、意志の重みを委ねたのではないだろうか。本来言語も通じない彼らとの間で通じるのはアメリカンスピリットのモールス信号、故に弟との交信が切ない
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