韓国の貧困地域を望む半地下の格安アパートに暮らす、4人全員が失業中のキム一家。
しかし、ある日長男のギヴが友人の紹介で裕福なパク家の家庭教師となってから、家族は見事な偽装の手腕と連携で次々とパク家に就職していく。
血縁関係を隠して別人を装い、パク家に"寄生"するように就職したキム一家だが、かつて著名な建築家が建設したというこの邸宅には驚くべき秘密が隠されていた。
やっと観れました、話題作！
韓国映画はほぼ初めてでしたが、韓ドラを観ていたことがあったり、その特徴は又聞きしていたので、なんとなく想像しつつも情報はシャットアウトで臨みました。展開自体は明解なので、下調べは無しの鑑賞がベストかも。
結果、突然"衝撃"のニ文字に頭を殴られ、ずっと胸に何が蟠るような作品でした。
怖いのか？面白いのか？切ないのか？と色んな気持ちが渦巻いて混在する鑑賞後感が未だに尾を引いております…。
全体的にコメディタッチでテンポも良いので観やすいのですが、仕掛けの多さと秘密の大きさ、ヒートアップする展開には度肝を抜かれました。何というか、痛烈。
もちろん勢いだけではなく、終始漂う不穏な空気や終盤の哀愁などのニュアンスもしっかり表現されていて、緩急のつき方が絶妙なのは韓国作品ならではなのかなとも感じました。
しかしこれは貧富の差や韓国社会というよりは、それが何でも他人同士である人と人の間に起こる軋み、嫌でもできてしまう差に置き換えて考えることも出来るなぁと、とてもじゃないけど他人事とは思えない題材でした。
登場人物が限られている上に描写も濃いので、特に主役側のキム一家に対する感情輸入が凄まじく、妹のギジョンなんかはとても印象に残りました。愛嬌のある顔立ちに冴えた頭脳も素敵だし、光の中で桃を持つシーンとトイレの上でタバコを蒸すシーンは実に絵画的で美しかったので印象的。
フィクション特有の盛り上がりと社会問題描写の痛烈さのバランス、展開のリズム感や温度感が凄く良くできているので全編全く飽きず、それでいて二時間以上観た実感はしっかりあるという濃密な映画体験でした。
韓国のポピュラー音楽に造詣はないけれど、監督自ら作詞したというロックテイストのエンディング曲も結構良かったなぁ。
