いかちき

パラサイト 半地下の家族のいかちきのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

最初は「万引き家族」っぽいなぁと思ったけれどそれも一瞬だった。展開が早いしおもしろい。大胆で派手で荒唐無稽だ。
登場人物の癖がすごい。
キム家の人々もたいがいだけどパク家もおかしい。そしてムングァンとグンセが恐ろしい。
でもなんだか憎めない。
窓のシーンが良かった。
キム家がある半地下の家の窓から見る路地裏は猥雑で薄汚れている。高台の高級住宅地にあるパク家のリビングの大きな窓から見る庭は美しく雨からも雷からも守られている。キム家の四人はどちらの窓の中にいても騒々しく和気藹々としている。
そして匂い。誰もが憶えている父の匂い、母の匂い、子どもの匂い、家の匂い。そこからは逃れようがない。
雨の中に逃げ出して坂道を下っていくキム家の息子ギウの足元を流れていく雨水とか、辿り着いた水没した半地下の妙な場所にある便座に座ってタバコを吸う娘ギジョンとか、ちょっとタルコフスキーっぽいなと思った。
私が好きな場面はパク家の息子ダソンが庭に張ったテントの中に灯りを点して立て篭もるところと、事件後回復したギウが山に登って元パク家の窓の灯りを眺めるところ。傷ついた息子たちが家を出てモールス信号を解読しようとする姿が切ない。
あとはとにかくとムングァンとグンセだ。凄まじすぎるけどあの二人もまた家族なのだ。
正直好きかと問われると嫌いではないという程度になってしまうけど映画としては本当におもしろいと思う。
気になっていたポンジュノ監督の他の作品もぼちぼち観たい。
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