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パラサイト 半地下の家族のメグのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.5
友達に紹介されて金持ち一家の娘の家庭教師をすることになったギウ。
学歴はないけれどそれなりに勉強はできるのよね。
妹もそれなりの技術はあるし、父さんだって、母さんだって
生きていくスキルはある。
それでも仕事につけない。
韓国の格差社会、学歴社会の凄まじさみたいなものって
私たちが思っている以上なんだろうな。
そして一度落ちてしまうと
元の位置には戻れない社会。

高台の豪邸に住んでいるのはIT企業のパク社長一家
奥さんに上手く取り入って気に入られたギウの
紹介で妹のギジョンもパク家に雇われることになる。
赤の他人のフリをしてパク家に入り込んでいくキム一家

ちょっと木村佳乃似の奥さんが
間抜けでどこか素っ頓狂なのだ。
金持ちだからなのか、優しいのか、世間知らずなのか
簡単に騙される。 
もうね、キム一家の思うツボ。
まあしかし、ここらへんまではなんとなく予想の展開
それがある時からじわじわと侵食されてきて
後半はもう怒涛の展開

ちょいちょいとね印象的なアイテムが出てくるのよ。
最初に友達からもらう山水景石とかね。
インディアンとか。桃とか、ジャージャーラーメンとか。

そしてにおい
自分では気がつかない染み付いたもの
生々しくて、ものすごく生理的なもの。
これがね、画面から伝わって来る。
匂いって記憶とも結びついていくもの。
悲しいなー。

高台の家に住むお金持ちと
半地下の家に住む貧乏な一家。
画面で見るその高低差からも
貧富の差が感じられる
カメラワークが抜群で視覚からも格差がインプットされる感じ

格差社会への問題提起として捉える人もいるだろうけれど
それよりもエンターティメントとしての完成度の高さと
富裕層、貧困層、どちらの側にも立てるバランスの良さが
いろんな国で賞賛されているのかもしれない。

でも、私は途中からなんだかもういたたまれなかった
大笑いしたって人も結構いるらしいんだけれど
いやいやいや、私はだんだん心が潰れそうになってきたよ。
終わってからもしばらく心臓がドキドキしていた。

苦しいわー
いろんなことがてんこ盛りでバレそうでバレない
スリリングな展開にゾワゾワしてきていろんなものが
折り重なって諦め、怒り、暴力・・・
グロテスクさとユーモア。
畳み掛けてくるスピード感にあわあわしながら切なくなってきて・・・

底辺でうごめく人たちと高台で暮らす人たち
容赦なくえぐり出す脚本と演出と
先の読めないストーリー展開。

怖いけれど見るのをやめられない
ものすごい悪人もいないし
ものすごい善人もいない
それがね、またなんともやりきれなくてやるせない。


まっ、でも好き嫌いは分かれそうな気はするけど。

とりあえず半地下の家のトイレがすごいww
あんな祭壇みたいなところにあるんや、という驚きと

そうか・・・時計回りなのね・・・という。(笑)
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