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るろうに剣心 最終章 The Finalのpikaのレビュー・感想・評価

3.0
縁映画だった。真剣佑が全部食ってた。るろ剣実写映画は原作キャラに近づけてて違和感が少なくその点は安心して見れるシリーズなんだけど、真剣佑の縁は原作超えてた。原作では志々雄が一番強烈なキャラで人気もピカイチなのに実写版では真剣佑=縁が完全に食ってる。倭刀術とはと言うのを納得させてみせるアクションの凄さかっこよさ、人生を全て復讐に懸ける心的叙情と悲哀など、真剣佑=縁の魅力が迸ってる映画だった。むしろ魅力はそこだけかもしれない。
アクション映画としてはアクションシーンが満載で安定のクオリティだったので楽しめた。
最強の剣士であるはずの剣心が3回くらい意表を突かれてたのは見なかったことにします。


失笑もののファンサービスと伊勢谷友介の失態による出番削減と1作目との整合性を考えた敵キャラの配置、薫の下り以外はほぼ全部原作通り。再現力としては凄い笑。
前後編の2作に分けたこの構成、ストーリーの流れとかネタバレとか度外視していて驚いた。ダイジェスト演出はどうかと思うが、わざわざ「追憶編」だけ切り抜いたのは制作陣による自信か、人気もあるし実写化しやすい内容だからか。巴と縁(子役)のカツラ感に不安はあるがその方が一本単位でのムードは保たれるのかもしれない。

観客が汲み取るってのは意図があってのことなんだが、この作品の場合は哀れさ故に汲んでる感が強い。
会話シーンでわけがわからん方向から何度も切り替える演出、物言わぬ俳優たちの表情演技と大仰な音楽で心象を表現しようとしてしきれてない演出など大友節というのか、やりたいことはわかるけどそれが効果的かというと疑問な演出が爆発してる。追憶編をダイジェストにして飛ばしたのに、FINAL単体で剣心の精神的葛藤が全く語りきれておらず、終始ただただウジウジしているようにしか見えない。主人公にもヒーローにも見えない。
原作を読んでいるから再現されているシーンを見て汲み取れるけど、この映画だけを見ている人はついていけるのかな?との不安が終始拭えない。

薫のくだりは映画だから時間の経過を表現できず、劇的な効果が狙いづらいんだろうと仕方がないと思う反面、そこのせいで剣心の結末が分かりにくくなっていると思った。和月はあの部分は絶対に必要だとして、むしろ実は…の流れの方をやるつもりがなく編集に止められたって話があるほどだから人誅編で最も重要な出来事であるのに、という。そこは単に削るんじゃなく映画だからこその改変で表現し直すべきなんじゃないの?
左之助とか出てくる度うるさくて安心感ゼロだし、弥彦も酷いし、漫画映画の枠を越えようとしつつ漫画映画だからいいでしょっていう妥協も見える。
このシリーズは「漫画原作映画の成功作」のポジションにあるけど、単に再現度が高いだけで、再現以上のものがないような。再現する以外に映画化する意味があるのだろうか。
原作抜きで映画単体で成立するか否かと考えても、単なるアクション映画としてしか成立しておらず、緋村剣心のドラマとしては失敗していると思ってしまう。
2作セットというか、追憶編がないと伝わらない部分が多過ぎる。原作未読の人は追憶編を見て理解する仕組みなのかな。危険な賭けのようにも思えるが、作り手側の自信か自負か、これだけだとわかりにくいけど、気になってセットで見てくれるでしょうという。
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