あさのひかり

カスリコのあさのひかりのレビュー・感想・評価

カスリコ(2018年製作の映画)
4.7
この映画を知ったとき、隠れた名作の予感がして、それが当たるといいな、って思って観てきたのだけど、予想以上に大当たり。もう本当に観れて良かった。

腕のある料理人だったのに、博奕で店をつぶして無一文になり、賭場で下働きをすることになった男が主人公。

昭和40年代の高知という、ちょっとノスタルジックな背景がモノクロの画面で美しく描かれてるし、尺八や三味線のドラマチックな音が似合う、邦画らしい渋くて魅力的な登場人物たち。

淡々と時間にそって出来事が進んでいって、その中にも色々ドラマはあって、主人公はあまり感情を出さない、って大好きな「ROMA」を彷彿としました。私の大好きなの!そして、そこに確かにある、この場合には、愛というより人情かな、人の温もりが描かれているところも。そして、ままならない人生そのものが映しだされてるってところも。

賭場の様子もずっと映ってたのだけど、そこは品格も求められる紳士の社交場でもあって、ある種神聖な場所でもあって、でもやっぱり、人生を駄目にしてしまうくらい危険な娯楽でもあって、っていうのもちゃんと描かれていて。

上映館少ないのかもだけど、本当に名作でした。こんな邦画にもっと、光が当たるといいな、と思います。
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