Inagaquilala

罪の声のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.0
2020年はコロナ禍もあり、公開作品が絶対的に少なかったこともあり、これまであまり感心するものは少なかったが、この「罪の声」は、完成度といい、クオリティといい、邦画のなかでは群を抜く出来だったと思う。まず、原作がとても優れたミステリー小説であり、その映像化は難易度が高いと思っていたのだが、監督の土井裕康と脚本の野木亜紀子は見事にそれをやってのけた。しかも原作者が小説に込めたメッセージも確実に、映像作品に移し替えており、魂もこもった作品になっている。

主要人物である小栗旬と星野源のキャスティングも成功している。彼らの場面を映像的に多く登場させることで、複雑に織り込まれた原作の物語をかなり解きほぐし、理解しやすくしている。142分という比較的超尺な作品だが、入念に配された細かなエピソードの積み重ねで、その長さも感じさせないところも素晴らしい。実際の未解決事件を下敷きにした原作小説を読んだときには、その着想に大いに驚かされたが、この映像化作品を観た際、それを損なうことはなかったということを記しておきたい。
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