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罪の声のmocmoのネタバレレビュー・内容・結末

罪の声(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

 最初から最後までずっっっと面白くてトッポかと思った。見ながら、こんなにドキドキする展開なのにまだ1/3しか進んでない?! といちいち驚く。
 阿久津(小栗旬)の関西弁があんまりネイティブっぽくないなと思ってたら、東京に赴任してた時期があるってさり気なく説明されて心の中で手を叩いた。重たいテーマてはあるけれど、度々関西特有のノリが面白くて笑ってしまう部分もある。
  
 光雄と俊也がなぜテーラーなのか考えた。不満がある時、達雄や真由美は学生運動や犯罪行為という破壊的行動で解決しようとした。一方、光雄と俊也はテーラーとして創造的行為で解決する。テーラーの仕事は大きな変革ではないが、日常のささやかな満足を作る。
 また、スーツは主に大人が着るもので、学生運動を引きずった達雄らとの対比だと思う。子供の頃から大人に利用されていた聡一郎は、青木組が解散したことも知らずに怯え続けていたが、会見前にスーツを着ることで長すぎる子供時代を終えた。ボタンの取れかけた体に合わないスーツを着ていた阿久津は、己の仕事の意義を見出すことができずにいたが、ギン萬事件の記事を書き終え己に見合ったスーツを手にする。

 結末はハッピーエンドともバッドエンドとも言い切れず、ビターエンドといったところ。
 俊也は何も知らずに幸せに生きてきたが、事件を追ううちに自分(俊也)を犠牲にした母親の身勝手さを知ることとなる。聡一郎は苦しみながら生きてきたが、自分はいいから逃げろと言ってくれた真に愛ある母親との再会を果たした。"声"は俊也と真由美にとっては消してしまいたいものだが、聡一郎と千代子にとっては亡き姉の声を再度聴く唯一の手段である。望については、友人が「生きてますよね?」と泣くシーンも強く心に残っている。
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