このレビューはネタバレを含みます
ものすごく悲しいストーリー。悲劇的な終わりを予感させる要素がいくつも提示され、外れてくれと思いながら見続けるもすべて現実になっていく。
徐々に記憶を失くしていく病に冒されたジュードと、なんとかして病の進行を止めたいエマ。原題の『Little Fish』は2人のプロポーズに付随する思い出のこと。忘れないよう刺青で肌に刻む描写はクリストファー・ノーランの『メメント』を思い出した。しかしその最も大切な思い出すら彼らは忘れてしまう。
架空の病が題材のSFではあるが、認知症など身近な症状においてもこの映画に共感できる部分は大きいと思う。
絶望的なラストかと思われた最後の最後、ほんの数十秒のシーンが大きな救いである。忘れてしまったはずの愛は、それでも彼らの体に刻まれている。