ダイナ

悪人伝のダイナのレビュー・感想・評価

悪人伝(2018年製作の映画)
4.0
暴力刑事とヤクザ組長がタッグを組み連続殺人鬼を追い詰めていくハードボイルドサスペンス。

殺人鬼の急襲を受けた組長ドンスは復讐に燃え、刑事テソクはそれを利用し表と裏の情報と技術を共有し合い捜査しようぜと。見つけたら早い者勝ちだと。悪いやっちゃで。対する殺人鬼はいわゆる現実によく見られるパターンとは異なり弱者だけでなく「強者」にも襲いかかるという戦闘狂であり、ストーリーの動きだしであるドンスとのバトルは殴り合いにナイフの刺し合いにと、観ているこちら側の痛覚を刺激してくるような攻撃サウンドは雨音に相まって映像・音声実に見応えあり。復讐に沸る組長(with配下)&乱暴刑事(with部下)vs殺人鬼の構図は単純明快ながら、殺人鬼の大胆な挑発に撹乱させられつつ、ヤクザ世界の横の関係性、警察内部のいざこざと障害多く入り乱れたストーリー。魅力としてはドンスとテソクの利用しつつ利用されつつ、打ち解けたり突き放しとゴールは違えど捕獲という点において共通した意識を持つ2人のやり取りが決して友情とかではないのに熱く、ツンツンツンデレツンツンツン程の塩梅のコミュニケーションが微笑ましい。刑事達とヤクザの飲み会の所とかすげえいいんすよね(字に起こすととんでもねえ)。

ストーリーの意外性という点においては個人的には薄いかと思いつつも逆に言えば王道で、「登場人物の生き死に」とかの話でなく「映画として大きく外さない」という点に安心して観れるクオリティ。逆張りしなくても面白い作品を観客は愛す。韓国映画は軒並みバイオレンスアクション描写に関しては水準高い印象で、本作もそれに該当。ストーリーをフェーズとして分けるとすると多段に用意されており、なんといっても締め方、自分はこういう締め方好きです。マ・ドンソクはもう存在感だけで映画の魅力を担保できる逸材ですね。彼のパンチでグチャグチャになるあれやこれやを観、内なる破壊衝動を昇華させつつでっけえ背中に見惚れるって訳。
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