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パブリック 図書館の奇跡のKKのレビュー・感想・評価

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)
3.8
倫理と規則。
めちゃくちゃ難しい問題。

目の前には今にも死にそうな人。
自分の仕事は公共図書館の司書。

このままその人を図書館の中に留めておくだけでその人は助かる。

だけど、「規則」のために図書館から追い出せばその人は死ぬ。


有名な「トロッコ問題」と似てるなー。

消極的に助けるか、積極的に殺すか。

それを認めちゃったら、同じような境遇の人をみんな助けなければならない。
そうなったら、他の図書館や公共施設も同じようにしなければならなくなる。

どっちにとっても100%の解決策は存在しない。難しい問題だ、、、


検察の人は、なんの努力もしていないホームレスが公共施設に泊まることは許せないし、努力しようとしない彼らのことを理解できない。

ホームレス側は、仕事につかないことを別に悪だとは思っていないし、死にそうな人がいたら「人として」救うのが当然だと思っている。


ここで両者の議論に論点のズレが発生していて、検察側は、「社会人として、それはダメだろ」って話をしていて、ホームレス側は、「人として、ここは助けてよ」っていう話をしてる。

これじゃあ、いつまで経っても議論は平行線だし、そもそもお互いに相手の立場や考えを理解しようとしていない。

それじゃ結局、検察側は無抵抗のホームレスに武力行使したと叩かれるし、ホームレス側も逮捕されて終わり。

両方得がない。

けど、圧倒的に権力を持ってるのは検察側だからこの事件ももみ消されていく。だとしたらホームレス側が起こした行動は正解だったとも言える。

自分の望んだ結果にしたいなら、相手の立場と意見もちゃんと考えなきゃダメだよね。
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