もか

見えない目撃者のもかのネタバレレビュー・内容・結末

見えない目撃者(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

目が見えないけど『目撃した』『確かに声を聞いたんです』…警察に訴えても聞き入れてもらえない…正体が中々掴めない…そんな間にも、残忍で異常性に満ちた顔の見えない殺人鬼は、女子高生を次々に攫い被害者を増やし、執拗に追って来て逃げ道を奪い、激しく容赦なくその凶刃を振るう…最後の最後まで恐怖と緊張が続き、観ていて腹筋が痛くなりました…

視力を奪われたなつめが感じている世界の描写もかなり細かになされていて、日頃からの視覚障害者に対する配慮の重要性にも気づきました。

また、なつめが今回の事件の解決に執念を燃やした理由には、彼女の元々の正義感と共に、過去の不幸に対する罪悪感や後悔からの解放を求める意志がありました。

『後悔のない人生』を送らないようにと意識しても、人生には何が起こるか分かりません。しかし、強い気持ちを持っていれば、そんな過去から立ち直るきっかけは必ずどこかにあるという希望も見出せる作品だなと思いました。

最初は巻き込まれた形でなつめと一緒に事件を追うようになった、どこか無気力なスケボー少年の春馬が、なつめの熱意に動かされ、必要とされる事によって徐々にバディらしく頼れる若者として成長して行く様子も良かったです。なつめが犯人に追われるシーンの2人のやり取りは手に汗握りました。

大人のカッコイイ姿は、子どもに将来への期待をもたらす存在になれるんですね。春馬のような子には正にそんな存在が必要だったんだなと…尊敬される大人になりたいものです。

バディと言えば、盲導犬パルの演技力にかなりやられました…向けて来る視線、とあるシーンetc.....

怖かったですけど、ホラーなだけでなく、それぞれの人物の背景に触れヒューマン的な要素も入った良作だと思います。
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