Inagaquilala

ザ・ルースレス ~とあるマフィアの転落人生~のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
サブタイトルにあるように、イタリアのマフィアの世界でのし上がっていく男の栄光と挫折の人生を、実にファッショナブルに描いている。いかにもイタリア製の作品という感じだ。とくに主人公がのし上がって、ミラノのドゥオを望む住まいを手に入れるのだが、そのベランダからドゥオモを見ている主人公の姿が印象的だ。何度もイメージショットのようにドゥオモが出てくるので、この主人公の心象を表している。

主人公は南部のカラブリアの出身。都会であるミラノでは、その出自はどうやらあまり歓迎すべきものではないのだが、逆にこの地縁を生かして、主人公は裏社会で力を得ていく。ある意味、悪のヒューマンドラマが展開していく。イタリア製のネットフリックスのオリジナル作品らしいが、随所にその洒落たテーストは生きており、こういう作品は嫌いではない。主人公の、のし上がっていくマフィアを演じたのはリッカルド・スカマルチョの目力に妙に惹きつけられた。監督はレナート・デ・マリア、あまり聞かない名前だが、その演出は歯切れよく、自分が好きなタイプの作品だ。
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