マルチーノ最高傑作との呼び声高い作品らしい。原作であるポーの『黒猫』に大幅改変を加えて、欲望に忠実な気持ち悪い利己的クソ人間どもの地獄絵図のような狂宴へと変貌させた脚本は、二転三転していくのもあってサスペンスフルで面白いし、極端な逸脱はなく良くできた作品感はあるのだけど、わたし的には狂いまくってる『The Strange Vice of Mrs. Waldh』とか『All the Colors of the Dark』のが好き。
自由を奪う鳥籠のハトと、それを威嚇し抑圧する黒猫という感じで夫婦の関係性を代弁させつつ、猫は夫の死んでしまった強権的な母親の代理まで務めていて、あらゆる場面でその目線を向けてくる。明かりが灯る家→猫の光る目との呼応で常に監視されている…的な感じを醸し出してた。あとマルチーノってやっぱり結婚に何かマイナスな考え持ってそう。『All the Colors of the Dark』もそうだったし、本作でも牢獄としてしか捉えてない気がする…。