totoruru

パリに見出されたピアニストのtotoruruのレビュー・感想・評価

3.3
音楽は素晴らしかった…

ただ残念ながらストーリーが希薄。



才能ある若者が環境に恵まれず燻っているところに、善き支援者が現れて才能が開花していくという定番ストーリー。



主人公がワガママで我慢ができず、豆腐メンタルなところがモヤっとする。

ムカつくわ→やってらんね→やっぱやるわ…の繰り返し

すぐに放り出して出ていくのは良いとしても、練習に戻ってくる理由や心情が描ききれていない。

そのせいでワガママ男が気分で動いてる様にしか見えず、主人公に感情移入できずイラっと。



ストーリー的にも、音楽学校、ロマンス、悪友との関係など無理に詰め込みすぎてしまったような…

デートなどのロマンスシーンに時間を割いていたけど、結局は彼女も然程ストーリー的には対した役割はないし。

腱鞘炎になるところも、練習しているシーンがそれほどないので、唐突に腱鞘炎とかいわれてもイマイチ盛り上がらない。

しかも、その演出もまたその後のストーリーにほぼ関係ないし…


とにかく雑な展開が多く気になってしまう。

音楽に向き合う心境の変化、師弟の絆、努力、愛の力、友情など全てにおいて演出が中途半端。

もう少しターゲットを絞って丁寧に描いて欲しかったかな。



主人公とピエール、女伯爵エリザベスの3人チーム感はイイ感じ。

とくに女伯爵を演じたクリスティン・スコット・トーマスの演技と雰囲気が良かった。

 
クライマックスのステージも文句なし。



定番のサクセスストーリーで、音楽も良かったので楽しめる作品なのは間違いない。

…が

脚本・構成といったところに粗さが目立ち、素直に良作とは言い難いのが勿体無い。
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