ゆうゆ

はちどりのゆうゆのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.9
「 The Recorder Exam」の
ウニちゃんの5年後
前作で 少し寂しげて無機質なイメージ
だった家族の印象は今作で覆された。
家父長制で威圧的な父親や
心ここに在らずな母親にも
わが子達への愛が垣間見られ
家庭でも 学校でも 友達社会でも、
そして 家庭以外で過ごしたある一時の
出来事での 新たに見る両親の顔、
見知らぬ大人たちの彼女への関心や
あたたかい気づかい。

気分の凹む日もあれば
心躍る嬉しい出来事、
のちに 美しい想い出となるような
何気ない 人とのときめく交流もある。
そんな些細な、
ほんとうに些細な日々の積み重ねが
彼女を彼女らしく丁寧に形成し、
子供たちは 色んなしがらみから 
少しずつ解放され 
必死に羽ばたきながら
心の扉を開けていくのだろう


緊張感漂う父親や兄の存在。
敬語での会話や 玄関でのお見送りとか
居心地の悪い両親の喧嘩、その次の日の
元通りの雰囲気への戸惑い、家族で囲む食卓。
母親のくたびれた背中や かかと…。

それら 日常の些細な描写に
ノスタルジーを感じ、
ウニだけの日常ではなく
自分の過去の記憶さえも
呼び覚まされるあの感覚。。

そして何気ない 彼女の日常に
彼女の視野がほんのり明るく色づく
ある女性との出会い🌸
ひとりの少女を 
教師としてでなく "ひとりの人間" として
子供扱いせず同じ目の高さで接する
彼女の存在は 
憧れや安らぎ 尊敬できる大人の女性として
ウニには 眩しいくらい
すてきな人に映ったに違いない。
彼女の歌のシーンには鳥肌
そんな彼女との会話や
ウニにしたためた手紙に
この映画のメッセージが詰まっていた
ような気がします。

長編デビュー作とは思えない
作品全体の澄んだ空気、緻密なカメラワーク。
そのセンスだけでなく
若い女性監督ならではの繊細な視点が
見事に表現されていたように感じました。
あ~、いい映画だった。
ゆうゆ

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