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はちどりのnurukoのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.3
中2なんてもう遠い昔で忘れちゃったなーなんて思っていたけど、ウニを取り巻く人々それぞれの人生やあの時代の空気感にも想いを馳せてしまうような描き方をするから、はーすごいって思っちゃった。あんなお父さんにもお母さんにもお兄ちゃんにもお姉ちゃんにも、親友にも彼氏にも後輩にも物語があって、今を生きている。

塾の先生はもう最高なんだけど、数回しか出ない病院の先生の言葉の「気にかけてくれてる感じ」にも胸を打たれる。親友の「あんたは少し自分勝手」という言葉に、友達から「のんちゃんって聞いてるようで聞いてないよね」と言われたことを思い出して苦笑い。なんだ、あの頃のことしっかり思い出してるじゃん。そうなんだよ、自分のことで精一杯で独りだと思い込んで過ごしていたあの頃。

そして言葉では語らなくとも雄弁に語る視線や風景の映し方、余白の数々にも唸りました。ウニの最後の表情を見ていたら、なんだか涙がこみ上げてきてしまった。私ももういい年だけど、独りよがりにならず、やられっぱなしじゃなく、指を動かして、生きていこうと思った。

ちなみに思わず久しぶりにパンフレットも購入。キム・ボラ監督へのロングインタビューがとても良かったし、彼女のこれからの作品がとてもとても楽しみになりました。すっかりファンになっちゃったな。
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