花梛

名もなき生涯の花梛のレビュー・感想・評価

名もなき生涯(2019年製作の映画)
4.0
フランツ・イェーガーシュテッターというオーストリアのただの農夫が良心的兵役拒否をした話。
日本には村八分という言葉があるがまさに、兵役を拒否したフランツ一家は説得という名の罵倒をされつばをはかれ農作業もハブられていて戦争は、戦争に行かない人の心も変えるのだと思った。ヒトラー政権が反逆者を躊躇いもなく殺していたという背景があるから巻き添えを食いたくないという気持ちは解るので責められないが狂っている。
ずっと「本気でみんなヒトラーを崇拝していたの?ユダヤ人は化け物だって信じてたの?」と疑問だったので最悪の狂乱の時代にも良心はあったのだなぁと腑に落ちるとともに安心した。そうだよね。こういう人だっているよね。

3時間は長かった。
自然光で映されるオーストリアの緑豊かな村はとてもキレイだったけど、カットの繋ぎの雑さが凄くて……下手くそなマンガのコマ割りみたいなカットは見やすいとは言えないんだけど、だからこそ周りの、フランツの心中の、混乱をよく伝えていたとも思う。ドイツ語の使い分けも言葉の通じない化け物のようで効果はあったと思う。フランツと妻がドイツ語で喋る回想シーンがとても悲しい。
個人的には見て良かったなと思うけど、人には勧めづらい。エンタメからは程遠い作品。試写会で両隣の人は始まってすぐ寝ていた。

ミカエル・ニクヴィストとブルーノ・ガンツはもう新作は見納めかなぁ。
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