ペイン

バクラウ 地図から消された村のペインのレビュー・感想・評価

4.3
ウド・キア映画2本立て②

『食人族』、『アウトロー』(イーストウッド)、『悪の法則』、『ブルータル・ジャスティス』、『哭声/コクソン』、カーペンターのSFなんかの要素がごった煮されたどす黒く歪なクセになる1本。まさしく“モンドで西部劇でスプラッタ”な映画で、これら上記の作品が好きな映画ヲタには堪らない旨味成分の塊のような怪作。

“見事なまでに狂っている”というキャッチコピーはやはりちょっと違うというか、表面的に劇中で起こっている事象だけ並べればそうかもしれないけれど、違う面から見れば映画狂と思しきめちゃくちゃ映画愛に溢れた作り手が真摯に作った極めて“真っ当”な1作とも言える。

たしかに昨年のS・クレイグ・ザラーの大傑作『ブルータル・ジャスティス』程にはショットがキマっていないが、その無造作感がまた本作の風味と凄く合っている。正直、1回目観た時は前半部がいくらなんでも弛すぎるし話が飲み込みずらいかなとは思ったが、2回目観たらかなり色んな伏線が読み取れて面白かったので、ネタバレ厳禁と言われがちな本作だが案外結末を知ってからの2回目の方が楽しめると思う。

ドローン無視して野原でおっぱじめる二人組とか、やられたらやり返せ!なラストも妙な祝祭感、アゲ感が漂うし大好きな1本。舐めてた村人が実は殺人マシーンでしたものの傑作。それにしてもウド・キアは狂った傑作のアイコン的名優になりつつある。
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