ブタブタ

バクラウ 地図から消された村のブタブタのレビュー・感想・評価

4.0
『世界ウルルン滞在記・地獄変』
ナスDの秘境シリーズで「裸で踊ってるみたいな人達は観光客向けの《職業部族》で本物の《部族(トライブ)》は見た目は我々と同じ。だけど文明人とハッキリ違うのは彼等にはイザとなったら躊躇なく相手を殺すって覚悟がある」ってナスDが言ってたけど、バクラウ村の人達は正にこのイザとなったら殺す、戦うって覚悟がある《トライブ》
思うに大阪にバクラウ村の人々みたいな気概がほんの少しでも有れば橋下及び維新の会みたいな連中の支配を許す事はなかった。
「ナメてた村人は全員キルマシーン」
ホドロフスキー『エル・トポ』を評して「クロサワが西部劇をフェリーニが宗教映画を撮った様な」とパンフに書いてあったけど正にクロサワが西部劇を撮った様な+アリ・アスター(『 ミッドサマー』)な映画。
『 エル・トポ』の砂漠の殺戮シーンの空にUFOが飛んでるって噂があるんですがこっちは本当にUFOが飛んでる。
村人全員が七人の侍。
監督はジョン・カーペンター監督のファンだそうでオープニングの宇宙から地球にカメラがパンしてバクラウ村を空から映すところとかは『遊星からの物体X 』を意識してるというか、氷の中に閉じ込められてる《ザ・シング》と同じくバクラウ村の人々も何もしなければ平和で無害なんだから余所者が余計な手出ししちゃいけないって意味もある演出だと思う。

ブラジルには20世紀初頭、君主制から民主制に国が移行する混乱期に略奪や無法者達から地方農園(日本でいえば中世の荘園みたいなもの?)を守るために武装集団《カンガセイロ》なる組織を作っていたって歴史があって、言うなればアメリカ開拓時代のビリーザキッドに代表される荒くれ者達に保安官バッチを与えて傭兵というか地方領主が独自の自衛組織を作り上げたのとよく似てる。
なのでコレは近未来ブラジル西部劇でもあるのね。

前半は外部と隔絶され不便ながらも楽しい村の生活が延々と続き後半は世界(バクラウ村)の運命を掛けたスーパーバトルになるところとかは今公開中の⚫⚫⚫⚫と話しの作りが似てる。

ホドロフスキーが作る筈だった西部劇『エル・トポ 』続編『アベル・カイン』(コミック化はされてる)『 キング・ショット』が実現してたらこんな感じになってたかも思う。

「戦いはこれからだ!」的なラストも寧ろ石川賢マンガみたいでいい。
ブタブタ

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