Nana

レ・ミゼラブルのNanaのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)
4.2
治安維持のために権力を与えられているはずの警察に萎縮しない住民。
その住民を従わせるためにより横暴になる警察。
どちらが先か分からない鶏と卵の関係だけれども、関係性が狂っていることだけは確かな街が舞台の映画。

いつの時代も人は弱い者を利用する。
ユゴーの『レ・ミゼラブル』だって、コゼットを利用してヴァルジャンの善人さを強調し、ガブローシュを利用して革命の哀しさを描いている。子どもは弱さの象徴だから。
この映画での撮っちゃった彼は、最後までずっと巻き込まれるだけの存在だった。(盗撮はだめだけど)
彼は最後どうしたんだろう。住んでるとこであんなことされたらすごく嫌だろうな…たまたまだろうけれど。

そして、いつの時代も人は分かりやすいアイコンを求める。
望んでか望まずか、その傷を背負ったことで反権力の象徴になってしまう少年。
その権力を彼は利用しているのだろうけれど、別にそれが彼である必要はなく、同じようなアイコンになり得る人ならば誰でもいいのだと思う。
『ジョーカー』に描かれていた「ピエロ」と同じこと。

オトナとして、子どもにどんな社会を見せていけばいいのか、ちゃんと考えないといけないなと思う。
Nana

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