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家族を想うときのnaocoのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
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すげーノンフィクションだ。こういう家族、日曜日の昼にテレビで見た。……と、いう感じ。人物造形も物語の運びも。

労働者層をとりまく社会構造の話で左派の中高年ホイホイなんだけど(実際、シアターの感想ボードにはおじいさんたちの筆跡で現代社会への憤りが綴られていた)

・なんで父さんはずーっと威張り散らしてばっかりなの? (そして兄ちゃんにはあんなに厳しいのに娘には大甘)
・母さんよ、なぜふにゃふにゃした声であらゆるものに耐え続けるのか?
・兄ちゃん、かまってちゃんが過ぎないか?
・妹のあの問題行動は…

など、それぞれのキャラクターに焦点を当てて観ていくと、全員が「こうあるべき」という家族の役割に絡め取られてしまっているようにもみえる。これは家族の業が導いた悲劇なのかもしれない。

父さん、プライドはもういいから、過酷な仕事を無理に続けるよりも公的補助だ。
母さん、“お客様”のバーチャル家族を背負う必要はないし、父さんの面子を立てなくてもいいんだよ。

社会構造と家族の呪いが螺旋になって首を締めるような映画。

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この家族、何か既視感が…と思ったら、「新漂流家族」の美奈子一家と似た閉塞感があるように感じた。この映画で社会構造の問題に怒りを持った人々は美奈子一家の番組を見ても正しく社会構造に憤怒するのだろーか。人って勝手だからな。わかんないな。
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