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家族を想うときのrosechocolatのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.2
ここに描かれていることは、程度の差こそあれ、多くの人々が共感するはず。景気がよくても潤うのはほんの一握り、いつも何かに追われ、少しでも不安定要素があれば生活は破綻しかねない。リッキーの家族が抱える問題は、いつどんな形で私たちに降りかかってきてもおかしくはない。

家族を続けていくためには、最早親だけの努力では成り立たないこと、すなわち子どもたちにも社会に厳しく従ってもらうことも重要な要素になっている。気分で行動することすらも子どもには許されなくなった。その窮屈さの具体的な描き方がいい。

家族が規範から外れることに加えて、健康を害することも破綻に真っ直ぐに繋がっている。日本も、働ける人は死ぬまで働かせる社会になった。この作品をよくよく見つめることで、自分の置かれている境遇もやばいことを再認識できる。それもあくまで乾いたタッチで。ラストシーンのリッキーの表情を己と重ねる人も多いことだろう。
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