海老川

家族を想うときの海老川のレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.3
全人類が見よう、頼むから。

前作 "わたしは、ダニエル・ブレイク" でもそうだった、社会的弱者の描き方が心底落ち込むくらいに生々しい。
決して感動ポルノにも悪趣味な絶望にもならずに、淡々とこういう人たちがいるという事実を映し出す。

そしてこういう人たちの苦しみは、その実誰に対しても起こり得ると突きつけられる。前作も今作も、主人公は真っ当に生きてきたから。
あるいは自分をその苦しみの原因として見てしまうことだってある。搾取される人がいればする人がいる。無関係だと思っていても、私はネットで気軽に買い物ができる利便性と進化に依存し切っている。

間違いなく息子に1番のヘイトが向かうのだが、この被害者を産み出したのはまぎれもなくこの世界だ。なぜみんな未だに自業自得という身勝手な逃げの言葉を使ってしまうのか。

原題、良すぎる。
海老川

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