ペイン

家族を想うときのペインのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
3.5
朝、起き抜けに観る映画ではなかったな…しんどい。

前作にして大傑作『わたしは、ダニエル・ブレイク』は主人公がおじいちゃんで(とってもチャーミング)、持病があるという設定でこちらも非常に感情移入しやすかったのだが、本作の夫婦二人はキャラクター的にあまり魅力が感じられず、欠陥も見られないので何故この家族はここまで底辺から抜け出せないのだろう…と疑問に思ってしまう部分はあった。

それと『わたしは、ダニエル・ブレイク』以上に社会問題を提示することに注力しすぎた結果(仕方ない部分ではあるが)、かなり説明台詞的なものが気になった。(※『わたしは、ダニエル・ブレイク』の場合、IT弱者であるダニエル・ブレイクが図書館のパソコンで役所の手続きをしようとするのだが、機械音痴すぎて全く手続きが捗らない様子を遠巻きに引きのショットで写すところに視覚的強烈さを感じた。)

ただやはり一貫したケン・ローチ監督の眼差し、容赦ない現実を誇張するでもなく、露悪的に描くでもなく、まざまざと見せる誠実さにはやはり感服させられる。『ヘレディタリー 継承』とかを観て家庭崩壊モノ最高!とか言っていた自分を呪いたい。ガツンと喰らいました。まだまだ引退なんて言わずに撮って欲しい。
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