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鵞鳥湖の夜のkouのレビュー・感想・評価

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)
4.5
「薄氷の殺人」で一気にファンになったディアオ・イーナン監督作品。前作もすばらしかったが、今作も傑作だった。ビジュアルの鮮烈さ、物語の推進力と意外性、最終的な着地点、今作はこういうことについての映画だったのかと最後で驚かされる部分も含め本当に素晴らしい作品だった。

バイクでの冒頭のシーンや、ネオンや雑多な街並み、光る靴を履いて踊る人々、見世物小屋、影を使った暴力描写、そのすべてが真新しくそして強烈に印象に残る。美術的な驚きのある、カットごとの真新しさがあった。また、映画の全体を包む暴力や性、空虚感。この監督にしか描けない映画だと思う。

また、ノワールとしても見事。ファム・ファタールであるグイ・ルンメイがとにかく素晴らしい。彼女の男に屈しない強さ、顔つき含めとにかく魅力的なのだ。だからこそ今作のラストが十分に活きてくる。自分そのものの存在を通して、価値を見出す。爽快感すらあるラストは最高だった。
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