カンヌの常連ダルデンヌ兄弟の最新作は、彼らの国ベルギーが他のヨーロッパ諸国と同様に直面しているであろう、イスラム教の極端な一面がもたらす波紋を真正面から描いたもの。もちろん全てのムスリムがこうでない事は自明ではあるものの、心の奥底に過激さを抱えつつも「まとも」にしか見えない少年の振る舞いは(宗教に心酔した事がなくこれからも無いであろう自分にとっては)理解の外側に置かざるをえないので、本音と建前の境目が全く見えない中で接する必要のある側の戸惑いも非常によくわかる。最後ああいうちょっと出来過ぎにも思える展開を残していなかったら果たして彼は...と考えると気が重い。
